DIYでのかんな(カンナ)の使い方:木材をきれいに削る基本と安全対策
DIYで木材を使って物作りをする際、表面を滑らかにしたり、角を面取りしたりするために「かんな」という工具を使うことがあります。かんなは電動工具もありますが、手かんなは刃物を使ったアナログ工具の代表格です。一見難しそうに見えるかもしれませんが、正しい使い方と安全対策を知れば、初心者の方でも木材の仕上げ作業に挑戦することができます。この記事では、DIY初心者の方向けに、手かんなの基本的な使い方と、特に重要な安全対策について丁寧に解説します。
かんな(カンナ)とは?
かんなは、木材の表面を薄く削り取るための刃物工具です。木材の表面を平らにしたり、滑らかに仕上げたり、寸法を調整したり、角を丸めたりするのに使われます。大工道具の中でも特に繊細な技術が必要とされるイメージがありますが、DIYで基本的な使い方をマスターすれば、作品の完成度を大きく向上させることができます。
DIYで使う主な手かんなの種類
手かんなには様々な種類がありますが、DIYで最初に使用する機会が多いのは「台かんな」と呼ばれるものです。台かんなは、木材の表面を削る「刃」と、その刃を固定し、削る深さを調整しながら木材の上を滑らせる「台」から構成されています。この記事では、この一般的な台かんなを例に解説を進めます。
かんなの各部の名称と役割
台かんなの基本的な構造を理解することは、正しく使う上で重要です。 * 刃: 木材を削る部分です。非常に鋭利に研いでおく必要があります。 * 台: 木材の上を滑らせる本体部分です。木製のものと、金属製のものがあります。刃を固定し、削る深さを調整する役割を担います。 * 押さえ: 刃の上に重ねて固定する部品です。刃が振動するのを抑え、削り屑を巻き上げる役割もあります。 * 裏金(うらがね/おさえがね): 刃の裏側に固定する小さな刃のような部品です。削り屑の進行方向をコントロールし、逆目を防ぐ効果があります。 * 叩き棒(たたきぼう/げんのう): 台の頭やお尻を叩いて刃の出し具合を調整する際に使用します。金属製のかんなではネジやレバーで調整します。
かんなを使う前の準備:刃の調整
かんなを使う上で最も重要かつ難しいのが、刃の調整です。刃の出過ぎは削りにくく、ケガのリスクも高まります。刃が出ていなさすぎると木材が削れません。
- 刃の取り付け: 台の溝に刃をセットし、その上から押さえ、裏金の順で重ねて固定します。木製かんなの場合は、台の頭を叩いて固定します。金属製かんなの場合は、レバーやネジで固定します。
- 刃の出し具合の調整: 台の底面側から見て、刃がごくわずかに(紙一枚分程度)出ている状態が目安です。
- 刃を出す場合(木製かんな): 台のお尻側を軽く叩きます。
- 刃を引っ込める場合(木製かんな): 台の頭側を軽く叩きます。
- 金属製かんなの場合は、調整ネジやレバーを操作します。
この刃の出し具合の調整は、慣れが必要です。最初は、ほとんど出ていない状態から始め、試し削りをして少しずつ調整していくのが良いでしょう。
正しいかんなの使い方
安全かつきれいに木材を削るためには、正しい持ち方と姿勢、力の入れ方が重要です。
- 材料の固定: 削る木材は、必ず作業台などにしっかりと固定してください。クランプや万力などを使って、作業中に動かないように固定することが非常に重要です。固定が不十分だと、かんなが滑って思わぬ方向に進み、ケガの原因となります。
- かんなの持ち方: かんなの台を両手でしっかりと持ちます。一般的には、利き手側の手で台の後ろ側(お尻)を、もう一方の手で台の前側(頭)を押さえるように持ちます。力が均等に加わるように安定して持ちましょう。(図解や写真で持ち方を示す箇所)
- 削り始める位置: 木材の端からかんなを当てて削り始めます。かんなを木材に対して少し斜めに傾けて削り始めると、抵抗が少なくスムーズに削りやすい場合があります。(図解や写真で角度を示す箇所)
- 削る方向: 木材には「木目」があり、「順目」と「逆目」があります。順目に沿って削るのが基本です。順目なら薄く連続した削り屑が出ますが、逆目だと木材の繊維を逆立てる形になり、表面がめくれたり、かんなが引っかかったりします。試し削りをして、どちらの方向に削るとスムーズか確認しましょう。
- 力の入れ方: 削り始めは前側の手に、削っている最中は両手に均等に、削り終わりは後ろ側の手にやや力を入れるように意識すると、台が安定し、きれいに削りやすくなります。ただし、無理に強い力を入れる必要はありません。刃がきちんと調整されていれば、軽い力でも削れます。
- 一気に削らず薄く重ねる: 一度に厚く削ろうとせず、刃の出し具合を調整しながら、薄く何度も重ねて削るようにします。これにより、表面が均一になりやすく、失敗しにくくなります。
かんな使用時の安全対策
かんなは非常に鋭利な刃物です。不注意な扱いは重大なケガにつながる可能性があります。以下の安全対策を必ず守ってください。
- 保護具の着用:
- 作業用手袋: 刃や削り屑による切り傷を防ぐために、軍手や滑り止め付きの作業用手袋を着用することをおすすめします。
- 保護メガネ/ゴーグル: 削り屑が飛散することがあります。特に硬い木材を削る場合などは、目を保護するために保護メガネやゴーグルを着用するとより安全です。
- 刃の取り扱い: かんなの刃は研ぐ必要がありますが、研ぐ際や、刃の調整、交換の際は、刃先に直接触れないように細心の注意を払ってください。
- 作業場所の確保: かんなを使う際は、周囲に人がいないか確認し、十分な作業スペースを確保してください。特に、削り終わった際に体がぶつかるものがないか確認しましょう。
- 材料の確実な固定: 再度強調しますが、削る材料は作業台に完全に固定してください。動く材料を無理に削ろうとすると、非常に危険です。
- かんなの置き方: 使用中、あるいは一時的に作業を中断する際は、必ず刃が上向きにならないように、横向きや台が下になるように安定した場所に置いてください。うっかり刃に触れてしまう事故を防ぎます。
- 無理な体勢での作業を避ける: 不安定な体勢や、かんなに体重をかけすぎるような使い方は、コントロールを失いやすく危険です。安定した姿勢で作業を行ってください。
- 使用後の手入れと保管: 使用後は、木屑などをきれいに払い落とし、可能であれば刃に薄く油を塗布してサビを防ぎます。保管する際は、刃がむき出しにならないように刃先カバーを付けたり、専用のケースにしまったりして、安全な場所に保管してください。他の工具と一緒に無造作に置くと、誤って触れてしまう危険があります。
まとめ
かんなは、木材の表面を美しく仕上げるために非常に役立つアナログ工具です。刃の調整や削り方には多少の慣れが必要ですが、基本的な仕組みと手順を理解し、そして何よりも安全対策を徹底することで、DIYの幅を広げることができます。
最初は短い木材の試し削りから始めて、かんなの感覚を掴むことをおすすめします。刃物の危険性を常に意識し、保護具を正しく着用し、材料を確実に固定するなど、この記事で解説した安全対策を必ず守って、安全にDIYを楽しんでください。